近隣の方に聞く ~サザンツリーと認知症の方との接し方

聞き手 介護支援専門員 片岡 博幸

(片岡)
本日は、サザンツリーの近くにお住まいで、
6年以上運営推進会議にご出席いただいていているS様にお話をうかがいます。
2005年に開設して17年目、お宅のすぐ近くにあるサザンツリーは、どう映っていますか?
(S様)
開設前の近隣住民への説明会では、認知症がどういうものかまったく
わからなかったので、開設に反対する人もいたのを覚えています。
あちこち徘徊する人がいたら大変になるのではなどと漠然とした不安がありました。
(片岡)
当時反対していた方も、推進会議の参加メンバーを務めてくださったり、
入居者様にお野菜や果物をわけてくださるなど、今では良好な関係を築いています。
(S様)
入居者の方が一人で歩いていたら、認知症の方とはわからないです。
散歩に出られている入居者様と挨拶をして、お話をしても、認知症の方とは思えないです。
サザンツリーの建物は平屋建てということもあり、すっかり地域に溶け込んでいると思います。
(片岡)
地域を散歩する入居者様を見ていて、気づいたことはありますか?
(S様)
5年、6年と長く入居されている方はお顔とお名前も覚えています。
歩く速度がだいぶ遅くなって、背中が曲がってこられたなと、時の流れを感じます。
(片岡)
近隣の方がよく見てくださっているのは心強いです。
ところで、推進会議に参加されるようになって、認知症や認知症の方に対する向き合い方は変わりましたか?
(S様)
いつだったか、帰り道がわからなくなっている方に出くわしました。
お話していると、認知症の方ではないかと感じました。
ご自宅まで送り届けようかと悩みましたが、ご自宅の方向への道順を説明し、
お一人で帰っていただきました。
でも、その後その方のことが気になってしまって、
その方に聞いていたご自宅の電話番号におそるおそるかけてみました。
ご家族が出られて、まだお帰りではなく、とても心配されていました。
やはり、ご自宅までお送りしたらよかったと後悔しました。
しばらくして、ご家族から無事に自宅まで帰られたと連絡があったので、安堵したことがあります。
推進会議に参加して、認知症の情報に触れていますが、まだまだ判断に迷うことが多いです。
認知症の方にどのように介入して支援したらいいのか、もっと考えていきたいです。
(片岡)
はい。認知症であることは特別なことではないこと、
もっと多くの方に認知症のことを知っていただけるように情報発信してきます。
今後ともよろしくお願いいたします。

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