入居者様の「ニーズ」と「想い」~ケアマネジャーからのメッセージ

サザンツリー入居者様の、認知症の種類や、症状の深さ、広がりがそれぞれ違います。
そのため、日常生活においてできること、できないことが皆一様ではありません。

介護スタッフは、そこを見極め、できることはなるべくご自身でやっていただき、
できないところを支援しています。
ですが、「できる」「できない」の単純な二分割ではケアは成り立ちません。
そこには、入居者様の「ニーズ」と「想い」がなければいけません。

たとえば今、椅子から立ち上がるのにとても時間のかかる方が、トイレに行こうとしています。
自分で立つことはできるけれども、果たして一人で排泄までにトイレにたどり着けるのか?
そこで、少しの介助で入居者様が早く立ち上がることができ、
トイレでの排泄に間に合うと介護スタッフが判断したら、私は介助をすべきだと思っています。
この方のニーズは、トイレで清潔に、安全に排泄することだからです。
もし、トイレに間に合わずに途中で失禁してしまったら、ニーズは達成できず、
人に見られて屈辱的な結果となり、尊厳が傷つけられてしまいます。

一方で、何としても人の手を借りずに、自分でトイレに行って排泄をしたいという
「想い」を強く持っている方もいます。
この場合、介護スタッフは、早めにトイレを促す声かけをしたり、
普段から立ち上がりや歩く練習をしていただくケアをします。

「ニーズ」と「想い」を両立させることは、現実的には難しいことが多々あります。
その時々でどのようなケアを選択すればいいのか。
入居者様の反応に戸惑ったり、迷ったりの連続ですが、
経験と判断力をフルに回転させて、毎日ケアにあたっています。

介護支援専門員 片岡 博幸

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