コロナ第6波、第7波…。3年に及ぶコロナで、家族様が入居者様に会える機会が激減し、
つらくさみしい思いされている人がたくさんいます。
一方で、平時でもほとんど会いに来られない方、施設にお願いされて、
ちょっと顔を見て一言会話をして、早々に帰られる方もおられます。
あるグループホームを利用している方がホーム長に、
『つらいときは面会に来なくていいのですよ』と口癖のように言われていたそうです。
『義務感から毎週来ているけれど、表情がつらそうな人もいるし、
遠方から数カ月に1度短時間しか来られなくても、楽しそうな人もいます』と。
親が介護施設に入居している場合、コロナ禍で面会制限が緩和されたときに、
それぞれ10分3回の面会ができたとして、1年でたった30分です。
とはいえ、コロナのない平時でも、1カ月に1時間会えて1年で12時間、
1カ月に2時間会えて1年で1日です。お盆やお正月に1泊しても、1日か2日増えるだけです。
大人になってからも同居しているか、近くに住んでいる場合を除けば、
親と子が一緒に過ごせる時間はそんなに長くないのが実情です。
久しぶりの面会でお母さんの笑顔が見られた日は、うれしくてほっとします。
でも、認知症が進んだ方の場合、面会時「だれやったかいなー?」と言われることがあります。
せっかく会えても、お母さんの機嫌が悪い日もあります。
そうすると、ちょっとがっかりする人や、かなり傷つく人がいるはずです。
それでも、お母さんの顔を見て会話を交わせたなら、
その貴重な時間をやさしい気持ちで慈しんでみていただけたらと思います。
時間の長さにこだわらず、時間の質が充実していれば、後になっていい記憶が残るのではないでしょうか?
代表取締役 鍬田 ちなみ